卒業証書授与式
第75回卒業証書授与式 令和6年3月15日(金)
送辞
冬の寒さがようやく和らぎ始め、春の暖かな陽射しが巡ってまいりました。
春の足音が聞こえる今日の良き日に、この原山中学校を巣立ってゆかれる皆様方、並びに保護者の皆様。ご卒業おめでとうございます。在校生を代表し、心よりお祝い申し上げます。
皆さんは今、原山中学校で過ごした3年間をどのように振り返っていますか。
ふと先輩方との思い出を振り返ってみると、いつでも優しく私たちを導き、支えてくださっていたことに気付きます。
2年前の入学式では、初めての環境に戸惑い、不安でいっぱいだった私たちを、優しく笑顔で迎えてくださいました。
先輩方の優しさがあったからこそ、私たちは新しい環境にもすぐに慣れることができました。
思えば、先輩方はいつも私たちの目標であり、憧れでした。年齢がひとつ違うだけなのに、私たちの目にはその背中がどれほど大きく映ったことでしょう。
行事の度に、その存在の大きさを知ることとなりました。
体育祭のときには、どのクラスも一丸となって競技に取り組む姿や、声を限りに応援する先輩方の強い団結力に圧倒されました。
合唱コンクールのときには、その強い団結力から生まれる、一体感のある美しいハーモニーが会場中に響き渡り、その場にいた全員が魅了されました。これが、原山中学校の歌声なのだと、語っているかのようでした。それを誇らしく思うと同時に、改めて、先輩方のレベルの高さを痛感しました。
楽しそうだなと思って入った委員会や部活動は、私たちにとってはまだ難しく、目の前のことでいっぱいになってしまうこともありました。それでも先輩方は、私たちを優しく、そして、楽しく導き、不安を笑顔に変えてくださいました。そんな先輩方がいてくださったおかげで、 私たちは、今日まで充実した時を過ごすことができました。
先輩方は、いつどんな時でも私たちを先導し、私たちが気づかない細かな部分にも気を配り、行動していらっしゃいました。 そんな先輩方からは、授業では学ぶことのできない、たくさんのことを教えていただきました。
大きくも遠い先輩方は、到底私たちの及ぶところではありませんが、私たちの目標として、ずっとそのあとを追い続けることでしょう。ここまで、私たちが成長できたのは、間違いなく先輩方の支えがあればこそと、感謝の気持ちでいっぱいです。
これから皆さんが歩んでいく道には、沢山の希望や明るい未来が待っていることでしょう。しかし、これまでにない困難に立ち止まることもあるかと思います。そんなときにこそ、原山中学校で培った経験や、共に切磋琢磨した友人との思い出が、皆さんの、前へ進む原動力となるのではないでしょうか。かけがえのない思い出を胸に、輝かしい未来を切り拓いていってください。
先輩方に甘えていたばかりの私たちも、最上級生として学校を引っ張っていかなくてはなりません。皆さんから教わったことを決して忘れずに、原山中学校の伝統を引き継いでいきます。名残はつきませんが、とうとうお別れです。卒業生の皆さん本当にお世話になり、ありがとうございました。卒業後も是非お元気な姿を原山中学校に見せに来てください。
先輩方の御健康と、益々の御活躍を心からお祈りし、送辞とさせていただきます。
令和6年3月15日
在校生代表
答辞
穏やかな春の日差しが街や人を柔らかく包み、桜の開花の知らせも聞こえ、彩りの春がすぐそこに近づいてきているこの春の佳き日、私たちは、9年間の義務教育を修了し、それぞれの夢に向かって巣立つ日を迎えました。
本日は、このような盛大な卒業式を行っていただきありがとうございます。
また、校長先生をはじめ、来賓の皆様から、お祝いと励ましの言葉、そして在校生のみなさんから心のこもったお別れの言葉をいただき、今、私たちは、感謝の気持ちでいっぱいです。
今、この場に立つと、3年間の様々な思い出が溢れてきます。
3年前、春風に舞う桜の花に迎えられ、私たちは、着慣れない制服を身にまとい、スタートラインに立ちました。新しい友達との出会い、難しくなる学習やテスト、部活動や学校行事など、これから始まる中学校生活への期待と不安が交錯する中での入学でした。しかし、中学生としての自覚はまだ芽生えていませんでした。
入学して間もなく、中学初の行事は体育祭でした。大繩を飛んでいる最中での雨の中、みんなでやりぬいた事をはっきり覚えています。
1年秋、初めての校外学習、バス内でフェイスシールドをつけての実施でした。それでも、小学校で行けなかった修学旅行地を訪れることができたのを、本当にうれしく思いました。先生方が、私たちの新型コロナで我慢を強いられた小学校時代の思いを受け止めてくれている…。
小学校以来、時が止まっていた時計の針がやっと動き出した瞬間でした。
2年生の1学期に実施した「未来くるワーク体験」で、初めて社会人と接し、仕事の厳しさややりがいについて少しだけ考えるようになりました。このままの私たちではいけない、社会に出るまでにやらねばならないことが山ほどあることを学びました。
2年生の一番の思い出は、何といっても舘岩自然の教室でした。施設の関係で、学年全員での実施はできませんでしたが、中学に入って初めての宿泊行事に心が躍りました。スキー実習では、「スキーなんて」と甘くみていた私たちにとって、それは予想をはるかに超えたものでした。一度転んだら簡単に立ち上がれない厳しさに音を上げそうになりました。以前の私たちなら、ここで諦めていたかもしれません。
しかし、1年以上、共に過ごしてきた仲間との時間と努力は、私たちを決して裏切ることなく、成長させてくれていました。仲間を思いやる気持ちが芽生え、声を掛け合い、力を合わせて乗り越えました。「転んでもやり直す、本気で取り組む、ゆっくりであっても確実な一歩によって、最終ゴールに近づける」、これは、その後の学校生活にも活かされるようになりました。苦労して培ったものから、今までの私たちになかったもの、本当に求めるべきものが見えてきたように思います。
最高学年、私たちは学校を支えていくという決意をしました。そうした中で出かけた、京都・奈良への修学旅行、私たちは、神社仏閣の拝観だけではなく、能・狂言といった日本の誇る伝統芸能を実際に見て、本物の放つ偉大さに圧倒されました。また、宿舎となった聖護院での止観体験では、しんと静まり返った空間で、存在している全てがつながりあって、自分がそこに生かされているということを感じ取りました。
そのときの僧侶の方から言われた、「日常の姿勢の大切さに始まり、神や仏様の前で手を合わせるのは、絶対的な存在の前で、嘘のない自分になるためのスイッチを入れるためだ」という生きるための姿勢をも学びました。それはとても衝撃的な言葉でした。
それからは、人との信頼や結びつきを必要とする言葉についても考えるようになり、本当に伝えなければならないこと、また、普段から支えてくれる存在に気づき、そうした人たちに応えるためにどうすればいいかを考えるようになりました。まさしく修学旅行でのスローガン「学べ! 古都の歴史から」が私たちに生き始めてきたように思います。
晩秋に行われた文化センターでの合唱コンクール、この感動は言葉で簡単には言い表せません。 1年生の時、新型コロナ感染拡大のために、急な延期や場所の変更、そしてマスクを付けたままの合唱…。3年になり、ようやく初めてマスクなしでの歌声を仲間たちと楽しめました。ここにも大きなドラマがありました。
本番に至るまで、何度仲間と諍いがあったことでしょう。練習が中断したこと、涙を流したこと、それでも私たちは、そこから逃げませんでした。立ち向かい、乗り越えた結果、あのような歌声を響かせることができたのです。
簡単ではないからこそ、そこに意味や価値がある。一つのものをみんなでつくりあげるという、学校でしか味わえない世界、それは、順位や順番を超えたもっともっと大きな価値のあるものでした。
こうして3年間を振り返ってみると、私たちは喜びも悲しみも分かち合い、共に学び、歩んできました。
これまで多くの行事を陰で支えてくれた実行委員のみんな、体育祭のときに、完成度の高い応援旗を作成してくれたみんな、練習時から本番までリードしてくれた体育委員のみんな、大縄で、腕や腰の痛みに耐え、満身創痍で縄を回してくれたみんな、そして、受験期、先に進路決定をした仲間たちが、最後まで公立受検を迎える仲間たちを支えてくれました。今日まで一緒に歩んできた仲間は、いつしかかけがえのない仲間へとなっていきました。
私たちの学年目標は「みんなが主役の青学年」です。今、卒業を目の前にし、私たち一人一人が個性的な主役に育ちました。ここまで共につくりあげてきた、本当に素晴らしい仲間です!
また、私たちの中学校生活は、後輩のみなさんの存在なくして語ることはできません。みなさんがいたから、成長することができました。部活動の引退の少し前まで、「さみしい」と言ってくれていた後輩たちが、わずかな期間でその瞳の輝きが変わり、そこには強くてまぶしい光が放たれていました。「ああ、頼もしいな」と感じたものです。今まで本当にありがとう。
2年生のみなさん、今度はみなさんがこの学校の核となる番です。そこに、さらに自分の進路を決めていくことも重なってきます。ただ何となく過ごしていては、自分の可能性の芽を摘み取ることになり、自分の成長も、学校の核としての責任も果たすことはできません。常に自分の課題を確認し、自分に何ができるかを考え、主体的に求めていくことが大切です。
これからの新たな原山中学校の歴史を築いていく、その役目を、今日皆さんに託します。よろしくお願いします。
先生方、これまで3年間、私たちを見守って下さりありがとうございました。しかしながら、私たちは多くの場面でそうした先生方の思いに甘えてしまったように思います。問題が起こり、友人を悩ませ、そして親や先生方を困らせました。仲間や大人が涙するということ、大人が真剣に叱るということを初めて受けとめました。
これからはどうしたらいいのか、どう正すべきなのか、原因はどこにあるのか。私たちはその一つひとつを考え、行動を見直していきました。そうした中で、時には厳しく、またある時は、温かい励ましの言葉をかけ続けて下さいました。未熟だった私たちは、そんな先生方の本当の愛情を理解できず、何度も反抗的になり、迷惑をかけてきました。けれども、先生方が、人として生きるための判断力を付けてくださっていたこと、今ならしっかり分かります。本当にありがとうございました。
ご列席くださいました御来賓、地域の皆様、いつも私たちのことを見守ってくださり、ありがとうございました。毎日の登下校はもとより、行事にもたくさんのご協力をいただきました。これからも原山中をどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、お父さん、お母さん、これまで支え続けてくれてありがとう。中学校入学式、あの日、「いってらっしゃい」と見送った私たちの後ろ姿は大きくなったでしょうか。「分かってるから」「黙って」「うざい」、何度も心配させ、困らせ、わがままばかりでしたが、それでもいつも味方になって、私たちを包んでくれていました。
私たちは、多くの方々の愛情に包まれ、こんなにも成長できました。
9年間の義務教育の答えは、人との約束を守ること、出会った人を心から大切にすること、社会のために行動することであり、そしてそれが、やがては広く、世界へとつながっていくということだとわかりました。明日からは、決意を新たに、覚悟をもった社会人になっていきます。
元日、能登半島を震源とした大きな地震がありました。また、世界には長引く戦争で苦しんでいる人たちもいます。中学校の授業から学んだことを、これからの社会生活に活かせる大人へとなっていきましょう。
ここまで一緒に歩んできた青学年のみんな、ここ原山中学校は私たちのかけがえのない居場所です。明日もここに来てしまいそうです。しかし、それに区切りをつけるために今日があります。
ここで過ごした日々は何にも代えられない私の宝物です。今、たくさんの人たちが私たちの未来に期待してくれていると分かります。だから、自信をもって明日への一歩を踏み出しましょう。
これから先、私たちの道は分かれていきます。たとえ隣にいられなくても、どれだけ離れていても大丈夫。自分を信じ、ひたむきに、胸を張って未来に飛び出していきましょう。
これまでの原山中学校と、今後の原山中学校をつなげていってくれることを心から願い答辞といたします。
令和6年 3月15日
卒業生代表